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講演会
生の意味を振り付ける
エルフリーデ・イェリネクの自伝テクスト
『わたしの主張』についてのコメント」講師:ラルフ・シュネル氏 5月30日(金)
Choreographien des Lebenssinns. Ein Kommentar zu Elfriede Jelineks autobiographischem Prosatext Angabe der Person (2022)

元慶應義塾大学文学部教授でジーゲン大学名誉教授のラルフ・シュネル先生を三田キャンパスにお招きし、ノーベル文学賞作家エルフリーデ・イェリネクの短編テクスト『わたしの主張』(2022)についてお話いただきます。この短編はドイツ語圏の劇場で舞台化され、高い評価を受けました。このテクストではイェリネクと思しき「わたし」が身辺や社会の出来事などについて「主張」していきますが、この「わたし」はイェリネク本人でも、別の誰かでもあるようであり、あるいは一定の人々を代弁しているかもしれないという不思議な印象を読者に与えます。これは、主体が別の誰かに変容し続けることで、特定のアイデンティティの固定化をそのつど否定するという点において遊戯的かつ修辞学的な「否定弁証法」(アドルノ)と言えます。この否定弁証法の遊戯性は一見すると分かりづらいかもしれませんが、ロックソングや演劇の事例と比較すると理解しやすくなります。
講演会では、「わたし」という文学テクストの主体が多彩な変容を遂げながら、音楽や演劇に越境することのありようについて具体例を交えて解説していただきます。
奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます

講演者プロフィール

ラルフ・シュネル氏(Prof. Dr. Ralf Schnell):ジーゲン大学名誉教授。ドイツ文学・メディア研究で多数の著作を発表。1991年から1997年まで慶應義塾大学文学部教授として後進の育成に務めた後、ドイツ・ジーゲン大学メディア研究所に移籍し、同研究所所長として文系から理系にわたる領域横断的メディア研究プロジェクトを牽引し、多くの成果を挙げた。2006年から2009年までジーゲン大学学長を務めた。
主な著作(いずれもドイツ語):『戦後ドイツ文学史』(1993)、『メディア美学』(2000)、『ドイツ文学研究入門』(2000)、『ドイツ文学史――宗教改革から現代まで』(2011)、『ハインリヒ・ベルとドイツ人』(2017)など多数。


講師 ラルフ・シュネル氏(ジーゲン大学名誉教授、慶應義塾大学文学部元教授)
司会 平田 栄一朗(慶應義塾大学文学部教授)
日時 2025年5月30日(金)16:30-18:00
会場 慶應義塾大学三田キャンパス 南館4階 会議室
主催 慶應義塾大学文学部独文学専攻
*どなたでもご参加いただけます。講演と質疑応答はドイツ語で行われます。