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ダンストーク13
「使いづらいダンスをともに試す
――ダンスの新しいフォーマット」
慶應義塾大学三田キャンパス 5月9日(土)18:30-20:30

ダンサー/振付家の砂連尾理さんをお呼びしてダンストークを下記の通り開催いたします。
ふるってご参加ください。


日時 2025年5月9日(土)18:30 – 20:30
会場 慶應義塾大学三田キャンパス 南館4階 会議室
三田キャンパスMAP(南館:左記キャンパスマップの②)
主催 ドイツ語を話さないドイツ語演劇学・舞踊学読書会
講師 砂連尾理氏(ダンサー/振付家、立教大学現代心理学部教授)
司会 宮下寛司(慶應義塾大学非常勤講師)
参加登録 申込フォーム

モダンダンス以降のダンスがしばしば「自由だ」と言われるとき、具体的には以下のような2種類の自由を実現しようと努めてきた。1. 新しい身体運動のイメージの実現。それまでになかった身体の動きをダンスとして名指し、それらは時として新たなテクニックやスタイルとして定着してきた。すなわち既存の運動イメージからの自由である。2. 新しいダンスコミュニティの実現。劇場を越えた様々な場所での公演・ワークショップなどを行うことで、これまでとは異なるダンスへの参加方法が模索されてきた。とりわけ上演において踊る/観るという限定的な参加方法を解体してきた。参加者に課せられる固定的役割からの自由といえる。

現代のダンスは、どのようなジャンルであれ、上記の2つのうちいずれかを実現しようと試みているだろう。個々のダンサーやカンパニーの試みは、このような自由を表現できるか否か、とりわけ他と違う新しさがあるかどうかによって評価される。それと同時にアーティストたちは自らの自由の試みを新しさの表現として説明することが多い。実験的な意味での自由は、もはや競争的な新しさと置き換わって理解されてしまっているかもしれない。

現代におけるダンスが実現する自由とは、そのような新しさの競争からの自由といえるのではないだろうか。それは単に新作を作ることをやめることで実現するわけではないだろう。ダンサーや観客を含めた参加者が、ダンスを行うためのあらゆる条件を考え直すことが上演自体においてまず求められる。その思考の対象は、身体運動のみならず、上演の場所と時間、参加方法がまず含まれるだろう。それだけでなく新しさの競争を生み出す創作方法(労働の方法、助成金などを含めた経済的手段…)さえも考慮の対象になる。

今の状況を創り出すあらゆる条件を上演において振り返りながらも、その反省を契機として初めて可能になる自由のための上演のフォーマットはいかに可能になるだろうか。具体的な新しさではない自由は、新しさを創り出すアーティストの目論見や確信、そして新しいものを観たい観客の期待の両方から逸脱しているに違いない。その意味でそのようなフォーマットは、ダンスの上演であってダンスと認められないのであり、新しい現実を創り出す力を持たないかもしれない。その代わりダンスにまつわるひとつの虚構を呈示し共有させるのかもしれない。

このトークでは、ダンサー・振付家砂連尾理と、そのようなフォーマットを創り出すきっかけについて参加者全員と意見を交換したい。

砂連尾理 氏 プロフィール
1991年、寺田みさことダンスユニットを結成。02年、「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2002」にて、「次代を担う振付家賞」(グランプリ)、「オーディエンス賞」をW受賞。
近年はソロ活動を中心に、ドイツの障がい者劇団ティクバとの「Thikwa+Junkan Project」(ドラマトゥルク・中島奈那子)、国内外(日本、マレーシア、シンガポール)の高齢者との「とつとつダンス」、病、障害などを〈生きる過程にある変容〉と捉え、対話を通してダンスへと変換する「変身—ええ、私です。又あなたです。」など、アートと社会を繋ぎダンスの意味を拡張する活動を展開している。
また濱口竜介、山城知佳子の映像作品に振付・出演や、水戸芸術館現代美術ギャラリー「アートセンターをひらく」、山形ビエンナーレ2022,2024に招聘作家として参加。
著書に「老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉―ダンスのような、介護のような―」(晶文社)。
立教大学 現代心理学部・映像身体学科 教授